【日本全国規模のデータを解析】新型コロナウイルス流行前後の変化を研究した論文が国際医療ジャーナル「PRS Global Open」に掲載

152,457名の患者様データから、新型コロナウイルス流行前後の治療状況を比較

TCB理事長 寺西宏王医師らが新型コロナウイルス流行前後の来院数やメニュー別治療数等の変化について研究。業界初となる日本全国規模の美容整形データを用いた解析結果をまとめた論文「Recent Status of Procedures in a Single Nationwide Cosmetic Surgery Group(全国規模の美容外科グループにおける最近の治療状況)」を発表いたしました。2023年10月11日に国際医療ジャーナル「PRS(Plastic and Reconstructive Surgery)Global Open」に掲載されました。

論文「Recent Status of Procedures in a Single Nationwide Cosmetic Surgery Group」

発表した論文の画像

文献情報

論文タイトル Recent Status of Procedures in a Single Nationwide Cosmetic Surgery Group
掲載誌 Plastic and Reconstructive Surgery-Global Open
掲載日 2023年10月11日
著者 Saito, Masao MD, PhD; Kawaguchi, Ko MD; Hiramatsu, Eri MD; Yamamoto, Nobuo MD; Hondo, Yoshiko MD; Nakagawa, Yumiko MD, PhD; Okumura, Koki MD; Sato, Asami MD; Teranishi, Hiroo MD
URL https://journals.lww.com/prsgo/fulltext/2023/10000/recent_status_of_procedures_in_a_single_nationwide.22.aspx

論文要旨

背景・目的

近年、日本でもSNSの普及により美容整形の需要が高まっています。その一方で、施設によって治療内容や外科医の手技レベルが異なるため、治療状況を全体的に理解することが困難になっています。新型コロナウイルス感染症の流行は経済状況やライフスタイルに変化をもたらし、この課題をさらに複雑にしました。
現在、日本の美容整形の現状に関するまとまったデータは存在しないため、患者様のニーズや動向を把握し、より適切な手術技術の的を絞った開発に向けて、TCBグループにおける美容整形の全体的な状況を整理することを目的としました。

方法

2018年9月から2021年8月まで(第1期)と2021年9月から2023年2月まで(第2期)に全国のTCBクリニックに来院された152,457名の患者様データを分析し、新型コロナウイルス流行前後の第1期と第2期で来院数やメニュー別・年齢別・職業別・地域別の治療数の増減などを比較しました。

結果

第1期と第2期の年齢分布(白いヒストグラム:全患者様の年齢分布 青いヒストグラム:目の下のクマの除去を受けた患者様の分布)

治療件数は、第1期(23,559件)に比べ第2期(128,898件)の方が圧倒的に件数が多く、約5.5倍という結果となりました。メニュー別で見ると、最も治療数の多かった施術は目元整形(23.6%)、次いでフェイスリフト(19.5%)、目の下のクマ(10.4%)、脱毛(10.3%)です。目の下のクマは、第1期では全治療数の4.2%(991件)に過ぎないですが、第2期では11.5%(14,862件)と大幅に増加し、年齢分布も変化しました。目元整形は21~29歳の若年層が多く、目の下のクマは34~50歳と中年層が多い結果に。フェイスリフトとボトックス注射の割合は大幅に減少しました(フェイスリフト:OR 0.67、95%CI 0.65~0.69、ボトックス:OR 0.36、95%CI 0.34~0.38)。

(長方形と線:それぞれ OR と 95% 信頼区間 黒い線:すべての処置の結果 灰色の線:ほくろ・いぼ除去のみの結果 OR:odds ratio CI:confidence interval M/V:moles and verruca)

地域別に比較すると、東京や大阪などの大都市で全体に対する治療数が大幅に減少(東京:OR 0.69、95%CI 0.67-0.71、大阪:OR 0.80、95%CI 0.77 ~ 0.84)。対照的に、地方都市では治療数が大幅に増加しました(中部地方:OR 1.33、95%CI 1.27~1.40、近畿・中国・四国:OR 2.21、95%CI 2.08~2.36、九州・沖縄地方:OR 1.46、95%CI 1.39–1.54)。特にほくろ・いぼ除去の治療は西日本で大幅に増加しています。職業については、芸能人・水商売の方の割合が大幅に減少した一方、学生の割合が大幅に上昇(芸能人:OR 0.44、95%CI 0.38~0.51、水商売:OR 0.58、95%CI 0.53~0.62、学生:OR1.21、95%CI 1.17-1.27)。
各治療の年齢分布は、目の治療は若年層の間で一般的であり、年齢中央値は 24 (21 ~ 29) 歳。目の下のクマ取りとボトックスは中年層の間で一般的な処置であり、年齢中央値はそれぞれ42(34~50)歳、39(31~47)歳でした。

考察

本研究では、TCBグループの治療状況をまとめ、日本の美容外科の現状をより明確に理解することができました。中年層における最も特徴的な変化は目の下のクマの治療数の増加であり、これにより研究における患者様の年齢分布が大きく変化しました。目の下のクマ取りの治療はソーシャルメディアで人気の話題となっており、美容整形の普及に伴い治療件数も増加しています。また、学生を中心とした若年層の目元整形件数が増加しています。フェイスリフト減少の理由としては、新型コロナウイルス感染症対策としてマスクの使用が増加したことが考えられます。マスクで隠せるフェイスラインの治療件数は減った一方、二重まぶたやクマなど目元のパーツの治療件数は増加しました。水商売や芸能人など外見が重視される職業では治療数が減少している一方、学生や専業主婦、公務員、無職の人では治療数が増加していることが判明しました。美容整形が一般の人の間でも浸透してきたことがうかがえます。

執筆医師

寺西 宏王医師の写真

寺西 宏王(Hiroo Teranishi)

TCB理事長 兼 TCB梅田大阪駅前院院長 兼
二重整形指導最高責任者(関西)

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